
「東洋思想と心理療法」研究会
Association for Oriental Philosophy and Psychotherapy
第16回研究会
2015年5月30日(土)開催
会場:駒澤大学 中央講堂
教育講演
「インターネットの普及による社会文化的な影響」
講師:宮本聡介(明治学院大学)
司会:阿部 裕(明治学院大学)
特別講演
「思春期の課題と病理」
講師:西園昌久(心理社会的精神医学研究所)
司会:中村伸一(中村心理療法研究室)
シンポジウム
テーマ 「大人へのイニシエーション ~現代の思春期を考える~」
指定討論:大山みち子(武蔵野大学・広尾心理臨床相談室)
司 会:佐藤 豊(防衛医科大学校)
司 会:高野 晶(心の杜・新宿クリニック)
「若者組の近代 ~遊興と公共性と~」
シンポジスト:松尾恒一(国立歴史民俗博物館
・総合研究大学院大学)
「大人になること ~浮世絵から見た江戸文化~」
シンポジスト:中城正堯(江戸子ども文化研究会)
「現代の思春期心性 ―宙ぶらりんの心理を中心に―」
シンポジスト:村松 励(専修大学)

ヒトは、「子ども」は「子ども」として、「大人」は「大人」の分際として、生きながら混沌と安定の中を通過し、各々の人生を全うしている。このようなライフサイクルを連続している過程-子どもから大人へと物理的生物学的な時間の制約のあるものとして捉える考え方-と考えるならば、子どもはどのような機会を経て「大人」の姿へと変遷するのだろうか。
個としての私たちは、内なる思春期という心性を抱えながら、一方で「器」としての身体的な成熟期を迎えることになる。このような身心の微妙で且つ、至極動的な均衡の波を通過していく。あるときは記憶の中に残っている「子ども」世界を内省的に自覚しながら、それをあたかも実体験の「子ども」の如き姿として認識し、童心に還って「遊び」、そこから世界を視、感じ取る存在としての「子ども」体験をし直す。この身を感じ取りながら、現実の集団社会の中で、機会を経ては幾度となく「子どもから大人への変遷」という、いわば「遊び体験」を繰り返していく。
今回は、大人へのイニシエーション-現代の思春期を考える-と題して、現代社会の日本の文化の中で、思春期的な課題が「大人へのイニシエーション」と結びつきながら、どのように現れ扱われてきているかについて、精神医学、民俗学、心理学など、さまざまな観点から分析し直していきたい。