「東洋思想と心理療法」研究会
Association for Oriental Philosophy and Psychotherapy
第19回研究会
2018年5月26日(土)開催
会場:駒澤大学中央講堂
教育講演
「『こころの構造』と精神現象――仏教の視点から」
講師:広沢正孝(順天堂大学)
司会:中村伸一(中村心理療法研究室)
特別講演
「身近な言い伝えと心意現象」
講師:常光徹(国立歴史民俗博物館名誉教授)
司会:大山みち子(武蔵野大学・広尾心理臨床相談室)
シンポジウム
テーマ 「こころの迷いと宗教」
指定討論:西園昌久(心理社会的精神医学研究所)
司 会:遠藤義彦
司 会:本橋弘子(CLA湯島心理臨床研究所)
「こころの迷いと宗教――歴史と民俗」
シンポジスト:松尾恒一(国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学)
「シャーマニズムと危機対応」
シンポジスト:塩月亮子(跡見学園女子大学)
「日本人の晩年の迷いと宗教観をめぐって――内因性精神病の諸症例を通して想うこと」
シンポジスト:広沢正孝(順天堂大学)
教育講演で広沢正孝氏は、従来の精神病理学・臨床心理学の方法論の限界を指摘し、「こころの構造・機能様態」を仏教的視点へ転換し論じた。特別講演で常光徹氏は、柳田国男の民俗資料の三部分類案と心意現象を読み解いていく概念として兆・応・禁・呪について紹介するとともに、俗言と呼ばれる身近な言い伝えを取り上げた。
シンポジウムでは、「こころの迷いと宗教」をテーマに、民俗学、宗教学・文化人類学、精神医学という3つの視点から論じていただいた。松尾恒一氏は民俗学の視点から、宗教と民族的な信仰との関係性、その歴史について話していただいた。塩月亮子氏は宗教学・文化人類学の視点から、シャーマンが、どのように人々の危機時に対応しているのか、いかに人々から必要とされているのかについて論じた。広沢正孝氏は精神医学の視点から、晩年の日本人にみられる「故郷回帰」に象徴される迷い、究極の居場所としての「あの世」への憧憬などについて述べた。